鬼女たちのくすぐり奴隷

第3話 限界くすぐり地獄

地獄のような責め苦から一旦解放され、しかし拘束されたままの俺は先程の凄まじいくすぐりの余韻に耐えるだけで精一杯になっていた。

いつまたあの恐ろしいくすぐり責めが再開されるのか分からないが俺を責めていた鬼女は

「ちょっと休憩してくるわ。あんた達、この人間の男には手を出すんじゃないわよ。」

と仲間の鬼女たちに釘を刺してどこかへ行ってしまった。
釘を刺された仲間の鬼女たちはと言えば、俺には目もくれず隣の青年の身体に群がり寄ってたかってくすぐり嬲る事に夢中だ。
狂宴はまだ終わっていない。
いたる所で男たちの悲鳴と鬼女たちの嬌声が上がっており、隣の年若い青年にも未だ安息は訪れていない。
1人にくすぐられるだけでもあんなに苦しかったのだ。4人の鬼女に身体中を隈なくくすぐられる彼の苦しみはいかほどのものか想像もできない。


ベッドの上で四肢を何本ものベルトで固定されて暴れる事もできない彼の無防備な裸体を鬼女たちは容赦する事なく40本の指で撫で回し、くすぐり回し、揉みほぐす事によって蹂躙し翻弄し狂わせ続けている。
彼は半狂乱になって泣き喚き、自分がいかに苦しいのかをひたすら訴え続けるが残酷な鬼女たちには一切聞き入れて貰えない。

「それじゃあ今度は全身をオイルマッサージしてあげるわね。」

4人の鬼女たちは示し合わせると手に精油をたっぷりと付け、彼の身体の隅々にまでそれを塗り込んでゆく。
指をくねらせて、腋の下や首筋、足の裏は勿論のこと、
足指の間、尻の割れ目や耳の中にまで彼女たちは油を塗り込み、気に入った場所は特に丁寧に、不必要なまでに繰り返し指で撫で回した。
ねちねちと意地の悪い下準備に、それだけで青年はくすぐったい悲鳴を上げて泣き声に近い笑いを上げる。

「まだくすぐってもいないのよ。今からこんなに笑ってどうするの?」

「よっぽど嬉しいのねぇ。くすくす。」

一通り彼女たちが満足し、彼の身体の滑りが充分に良くなった所で、
1人の鬼女が青年の首筋に両手の指を差し込みこちょこちょと動かし始めた。
彼女は精油でつやの出た彼の首筋全体を舐め回す様に指を滑らせてゆく。
普通に肌に触れるのとは段違いのくすぐったさなのだろうか、青年はたまらず引きつった笑顔を貼り付けたまま奇声を上げて、唯一自由に動かせる首をあちこちに振って逃れようとしたり、くすぐったくてたまらない部位を反射的に首をすぼめて守ろうとする。
だがどんなに顎を引き首をすぼめても、精油がたっぶりと塗られた首筋には鬼女の細長い指がいとも簡単に顎の下に滑り込み、防御など関係ないとばかりに指をくねらせくすぐったい刺激を与える。
油のおかげで摩擦の無くなった首筋をくすぐる鬼女は遠慮無く大きく広げた指に力を入れ大胆な動きでまさぐるが首に傷が付く事は無く、それらは全てくすぐったい刺激へと変わる。
意味のない防御を続けながら彼はぬるぬると首の表面を滑る指の感触に悶絶し、喉を詰まらせ声にならぬ悲鳴を上げて涙目になって彼女の手を顎で挟んだまま痙攣した様に笑う。
だがそのままでは物足りないとばかりに彼女はもう一方の手で、がら空きになった反対側のうなじに指を滑り込ませて激しくくすぐる。
雷に撃たれたようにびくんと彼の頭が跳ね上がりベッドに後頭部を打ち付けるがそれでうなじを守れる訳ではない。
苦悶の最中にいる彼をからかう様に、彼女は逃げ場の無い首の前後左右を両手でくすぐり一時も休ませない。

苦しむ彼の様子を見ていた他の鬼女がさらに追い打ちをかける。
彼の胸板に腰掛けている鬼女は脇の下をさわさわとくすぐり始めた。
腋を閉める事も身体を曲げる事すらも許されない青年は、首筋の責めは一切手心を加えられないまま腋の下にも魔の手が迫った事に脂汗をながしながら引きつった笑いを上げる。


そんな彼の様子を楽しみながら、彼女は脇の下を中心に二の腕や脇腹などにも手を伸ばし、広範囲をくすぐり責め続けていた。
脇の下よりやや下の、硬く骨張った部分を細くしなやかな指でコリコリと揉まれた事で青年の悲鳴の質が切羽詰まったものに変わる。
ここが弱点と睨んだ鬼女はその敏感な部位を指2本でこねくり回す責めを意地悪くいつまでも続けた。
たまにフェイントの様に腋の下の中心くすぐりに戻る事も忘れない。
青年は、喉も枯れんばかりに甲高い笑い声を上げて彼女のくすぐり責めに耐える事も逃げる事もできずただ翻弄され続けていた。
一通り楽しんだ所で、青年の疲労を見て取った彼女は、今度は宣言通りマッサージする様に手のひらで腋の下から胸板にかけてを、すくい出すように揉みほぐし始めた。


精油で良く滑る彼の皮膚は彼女の手の動きを妨げる事なく、こそぎ取る様な指の動きは予想外のくすぐったさを与えてくる。
先程は脇の下の弱点を責め立ててくる様な苛烈なくすぐりだったが、これもなかなかにタチが悪い様だ。
これまで絶え間ないくすぐりに対して拒絶し緊張し続けていた彼の身体が、今度はその緊張を揉み解す様な彼女の手のひらのマッサージにより糸が切れた様に弛緩させられる。
そのために、くすぐったい刺激を受け入れたくないのに身体が受け入れてしまうのだろうか。
首筋をくすぐっている鬼女の責めも相変わらず休まる様子が無い、そんな苛烈なくすぐり責めの中、
耐えられないものを耐え、拒絶できないものを必死で拒絶しようと緊張していた身体が、無理やりにリラックスを強いられた。
先程までの皮膚の表面を這い回ってむず痒くさせる様なくすぐったさとは違う、もっと神経の奥深くに潜り込んで内側を搔きまわす様なくすぐったい感覚が彼を襲う。

異質のくすぐったさを身体のどこにも逃す事も誤魔化す事もできず、彼は息が詰まった様に笑い声すら上げられなくなり、大きく痙攣して目からは涙を溢れさせた。

駄目押しとばかりに彼の両脚をくすぐり始めたのは残った2人の鬼女である。
両脇に控えていた彼女たちは片方の手で足の裏を、もう片方の手で太ももをくすぐり始めた。
4人がかりで四方八方から身体中をくすぐられ、たまらず再び爆笑を迸らせる犠牲者の青年。
彼の両脚は膝から下の脛の部分が何本ものベルトで拘束されており、脚をバタつかせる事はおろか膝を曲げたりもがく事すら許されない。
関節の部分を固定されピクリとも動く事のできない彼の太ももの内側や外側、付け根を鬼女2人は余すところ無くくすぐりつつ微妙な反応の違いを観察する事を怠らない。
足裏をくすぐっていた手は精油で滑りの良くなった土踏まずに思い切り爪を立てて、指を食い込ませる様にこちょこちょと激しくくすぐる。
だが痛みはなく傷つく事もない足の裏は、加減の要らなくなった暴力的なくすぐり責めをもろに受けてビクビクと悶え、必死で逃れようとつま先が前後左右に意味もなく動き続けては、結局逃れられず5本の指の餌食となっていた。

「ベルトが多いと膝から下はくすぐりにくいのが難点ね。」

「その代わりガッチリ拘束してるから、コッチは逃げられないのよねぇ」

言いながら1人の鬼女が彼の脚の付け根に目を付けた。例に漏れず念入りに精油を塗り込まれた脚の付け根のくぼみに彼女は両手を添えると、なぞる様にいやらしく揉み始めた。
拘束具により強制的に大股開きにさせられて両脚を固定された彼は、そそり立った股間のすぐ側を揉み解される未知のくすぐったさにたまらず悲鳴とも笑い声ともつかない嬌声を上げる。

身体中をくすぐられ半狂乱になり笑い悶える彼を残酷な鬼女たちはどこまでも追い込み続け、いかなる安息も逃避も許さない。
彼は目を剥いて涙を流し、涎を飛ばしていやいやをする様に頭をめちゃくちゃに振り続ける。最初はこの苦しい責めに対して静止を、次は懇願を訴え続けていたが、今は誰にともなく救いを求める言葉を発していた。だが哀れな犠牲者である彼に救い手が現れる事はない。あるいはそれは鬼女たちに対しての求めだったのかも知れない。

「くすくす、助けてーって誰に言っているのさ。私たちに助けて欲しいのか」
「救いなんか求めてるのはまだまだ堕ちてない証拠ね。」
「なになに?もっと激しくくすぐって欲しいの?しょうがないわねぇ」
「いくわよ、こーちょこちょこちょこちょ」

鬼女たちのくすぐりは苛烈さを増し、彼の笑い声もトーンが上がる。

見ているだけで笑ってしまいそうな辛い責めがどれほど続いただろうか、彼の口から涙がとめどなく流れ、ほとんど泣き声しか出なくなった頃を見計らって、鬼女たちはくすぐりを一旦止めた。
責めが止んでも青年の引き攣るような笑いはなかなか止まらなかった。
いつ終わるとも知れぬくすぐり責めを嫌という程続けられて、これで終わりと見せかけては直ぐに再開するという意地の悪い仕打ちを何度も受けたのだ。
その度に彼は、今度こそ無慈悲なくすぐり地獄は終わったのだと確信しては裏切られて再び地獄に叩き落される事を繰り返し、心はこれ以上ない程に叩き折られていた。

苦痛が一旦終わりを告げたという事実がなかなか信じられないのだろう。
だが4人の鬼女たちがテーブルにつき、未だ痙攣し喘ぎ続ける青年には目もくれず酒や料理に手をつけ始めた所で、ようやく彼女たちが自分から興味を失ってくれたのだと目に理解の光が浮かび始める。

するとテーブルから鬼女たちが戻ってきた。しかし先程とは様子が違う。その数が8人。
新たな鬼女たちを4人連れて、息を整えるので精一杯になっている青年を取り囲んで何やら話している。

「さっき遠目から見ていたんだけど。この人間はもうこんなものでいいでしょ」
「そうそう、こいつはとっくに心が折れてる。」
「まだ早いよ、仕上がってない。」
「ていうか屈服したかどうかなんて誰も見てないんだけど。おーい大丈夫?何とか返事しなさいよ、返事しないとくすぐるわよ、こちょこちょ・・・」
「いいえ、そろそろ限界だわ。お遊びも終わりにしなさいよ。」
最初に青年を責めていた鬼女4人は不満げだ。彼は一旦解放されるのだろうか。新しく来た彼女たちの言う通り、これ以上彼女たちの責めに耐えられるとは思えない。敵の心を折る事が目的ならばとうに果たされているだろう。そうこうしていると鬼女たちの間で話がついたらしい。

「今までは屈服させる事が目的で責めてたけど」
「お遊びはこの辺で終わり。ここからは本番ね。屈服させて抵抗を諦めさせた所で・・・」
「ここからは本格的に玩具として遊ぶよ。私たちの我慢も限界なんでね。」
「ちょっと、上玉なんだから早々に壊さないでよね。」
「さっき程度の泣き方してるようじゃあ、まだ余裕がある証拠よ。貴女知らないの?道理で手ぬるいと思ったわ。」
「そう言って前にも壊したじゃないか…これだからもうしばらく4人だけでゆっくり楽しみたかったのに」
「私は右の腋の下を担当するわ」
「あっ、待ってよずるい!じゃ私は脇腹担当ー」
「ちょっと、私も脇腹だからね」
「8人いるんだからちゃんと考えなさいよね。私はこっちの太ももがいいわ。」

彼女たちは恐ろしい事を口々に言うと、恐怖と絶望に染まった彼の顔色など一顧だにせず各自決めたポジションにつく。青年は今や阿呆の様に泣き出してた。
何をどうやっても助からないと心は諦めきっている。だがさらに先があるというのか。

もはや青年の意思など関係ないようだった。
拘束されて手脚を一切動かせず抵抗心も失くした人間の男をただの玩具と見なしている。
示し合わせると、8人の鬼女たちが彼の身体を一斉に激しくくすぐり始めた。
左右の足の裏を思い思いにくすぐっている鬼女が2人、太ももや股間の周辺を両手で抱え込む様にして細かくくすぐっている鬼女が2人、脇腹に指を食い込ませてくりくり、こちょこちょと指を蠢かせている鬼女が2人、腋の下のくぼみに10本の指を入れて高速でかき回している鬼女が2人だ。
もちろん責め方や責める部位は彼女たちの気分であちこちへ変化して、決して慣れさせない様に緩急がつけられている。
80本の指により五体を隈なくくすぐられ蹂躙され尽くす苦しみなど想像したくもない。解るのは彼が我も忘れて泣き叫び動物の様な唸り声を上げている事だけ。

「こいつ、うるさいから口塞いじゃうわよ。」
「あら、この声がいいんじゃない。」
「随分と苦しそうね、くすくす。でも喉を潰されると後が面倒だから、ちょっと息を止めてて貰おうかしら。」

1人の鬼女が青年の顔に馬乗りになり、尻で鼻と口を塞いだまま、両手で首筋をくすぐり始める。
そのままくぐもった笑いが聞こえるが構わず鬼女たちは彼の全身をくすぐり続けた。
「ははっ、こいつまた精を放ったよ。一体何が気持ちいいんだろうねぇ。」
8人がかりの苛烈なくすぐり責めは、信じられない程に長時間にわたり続いた。
全員が同時に全身を激しくくすぐって彼を笑い狂わせたかと思うと、時には愛撫のような優しいくすぐりで彼の笑いに快楽の声が混じるのを楽しんでは股間に血液を集中させた所で、しかし射精には導かずに今度は噛み付くような揉みくすぐりを8人の鬼女がランダムに行い予測不可能な部位に代わる代わる刺激を与えた。せめてその刺激に備えて覚悟しようとする彼を嘲笑う様に、気が緩んだタイミングを見計らって強弱様々なくすぐりが気まぐれに与えられる。
そしてまた逃げ場のない激しいくすぐりが再開され、今度はいつまでも終わる気配がない・・・

やがて彼はくぐもった声を震わせて一際大きな奇声を上げると、沈黙してしまった。
鬼女たちが一旦くすぐりをやめて様子を見ると、白目を剥いて失禁し、口からは涎と泡を出して気絶している様だ。
アンモニア臭がこちらにまで漂ってきた。
「あーあ、終わっちゃった。今日はこの辺かしら。」
「水をかけて起こせばまだ遊べるよ。一度くらい小便を漏らしただけだろう?」
「だめよ、こいつは座敷に運んで休息と治療。気が狂ってない事を祈るのね。」

青年の拘束が外され、ぐったりした身体を鬼女たちに担がれてどこかへ運ばれていく。

「ところで、あっちの男は?さっきから勃起したままこっちの事見てるんだけど」
「なになに?私たちの責めにご執心だったのかしら。」
「あら、まだいたんじゃない。くすぐり専門の奴隷が」

口々に言うと鬼女たちが俺の周りに集まってくる。まずい。

「俺には手を出さない様に言われてたんじゃないのか・・・あぐひぃっ、くはっ、おい、やめっ、ひひひひぃっ」

俺が喋り終わるのを待たず鬼女たちは脇腹を指でつんつんと突いてくる。前後左右から脇腹を突かれて俺は喋る暇もなく笑い身体をくねらせた。

「まだ反抗的だわ、こういうのもなかなか楽しめそうじゃない?」
「今度はこの男を壊して、じゃなかった、可愛がってあげようかしら」
「どこまで耐えられるか見ものね」

俺を取り囲んでにやにやと笑う鬼女たちに対して、俺は何もする事ができずただ身体を曲げてみっともなく笑い続けるだけだった。

F/Mくすぐり定食